漱石『門』・宗助・崖の上のポニョ
宮崎駿は『崖の上のポニョ』を作るにあたって、主人公の少年の名前をこの小説から取り、宗助としました。
漱石の『門』は『それから』の続編ということです。
ので、当然、主人公の宗助は愛のために世捨て人になった設定・・・と思いきやちゃっかり役人として仕事してる(笑)
これは、失業者で溢れる現代では、日雇い派遣ぐらいに脳内で読み替えないとツライかな? それとも漱石の世界は結局はブルジョワジーの世界ということ? 雇われてる車屋とか、人扱いされてない感じだし。明治は階級社会なり・・・・ということはさておき。
宗助は、妻御米とひっそり暮らしております。御米は親戚には顔向けできない様な気配(まだ途中までしか読んでないw)
しかし、『崖の上のポニョ』の宮崎ワールドでは、ポニョがお魚だったという事実をもって差別をするような人間は絶対に出てこないだろう。夢の世界のお話ということか、アニメというものの限界か。そうではないはず。宮崎はもっと現実を描こうと思えば出来る。でもあえて美しい世界を描くことを選んだ。なぜだろうか。
ところで、『門』には、何度も「崖の上」という言葉が出てくる。宗助は崖の下の家に住んでいる。それは空が狭く、薄暗く、崖は崩れてきそうで、まさに貧しさを象徴するような立地なのです。
この設定の違いには深い意味がありそうななさそうな。(笑)
ところで、この崖の上からはお金持ちのお嬢さんが弾くらしいピヤノの音が聞こえてくるのです。
崖の上のピヤノ
崖の上のポニョ
・・・似ている、似すぎている・・・と感じるのは私だけでしょうか?