漱石の現代的可能性

 というエントリを前にも書いたようなデジャブに襲われた。
 おそらく漱石の追及し格闘した主題は、そのままでは現代に通用しないだろう。漱石の悩みは、現代では「そんなことで悩んでいられるなんてお気楽なご身分ね」と一蹴されるであろうし、漱石の「反社会的」は、今では日常茶飯事に成り果てている。それだけ世界は劣悪化している。
 しかし、漱石が描いたような社会と個人の対立や、個人の存立の可能性を求めるという姿勢は現在もなお有効だと考える。
 漱石の取る「神の視点」は、批評性がある。三人称というものを見直そうと思った次第。
 また漱石の、比喩や小道具の扱いは実に冴えている。就いて学ぶべし。

 『彼岸過迄』は、次第に面白く思えてきた。最初は失望しかけたけど(笑)