問題はビジョンの有無ではなく道重さゆみへの誹謗中傷である

 アンジェラスさんから25の色は、本当は全て違う色なんだからという長文の返答をいただいた。しかし、その長さにもかかわらず、私が問題としている論点には一切触れてくださらなかったことが残念でならない。
 なぜわたしが敢えて火中の栗を拾うのか。その理由は「道重さゆみの能力の有無やビジョンの有無」についての見解の相違について、異議を唱えるためでは決してない。
 本質的な問題は「お情けでパートをもらっている」という発言に代表される道重さゆみに対する明らかな誹謗中傷に対してどのような態度を取るべきなのか、ということだ。
 17日のエントリで既に触れたので繰り返さないが、「道重造反」という文章で、道重さゆみに投げつけられた言葉は、(上記エントリでは「下衆の勘ぐり」と表現したが)、明らかな誹謗中傷である。一般人や一般企業に置き換えてみるならば、「あいつは実力もないのに社長に取り入っておねだりを繰り返しているフシがある。そうして美味しい仕事を貰って嬉しいのか」「あの企業は実力もないのに監督官庁に取り入って業務を受注している」というのと何ら変わらないことを言っているのである。それは刑法231条(侮辱罪)や233条(信用毀損罪)に該当してもおかしくない発言だと私は考えている。
 つまり問題を確認すれば、私がいぬいぬ氏やアンジェラスさんに問いかけたのは、このような誹謗中傷に対してすらも「お気持ちは、よく分かります。」と言い、「意見も理解できます。」と言うのだろうか、ということである。道重さゆみが将来のビジョンを持っているかどうかは、ここでの問題ではまったくない。
 道重さゆみへの心無い誹謗中傷を黙認し、黙殺するならまだしも、わざわざ同感の意を表してまで、ヲタ界隈の馴れ合いや、狭い「おらが村の平和」を守ることを優先するのか、ということが問題なのである。
 「あなたのおっしゃることは分かります」「あなたの気持ちも理解できます」と言い合い、機嫌を損ねかねないことや批判にあたりそうな発言は注意深く避け、本気でぶつかり合うことをせずひたすら気配りに終始し、お互いにお愛想笑いを浮かべあいながら、狭い世間の村落共同体的平和を維持することは、まことに、日本的なあまりに日本的な光景であり、私には、そのような空気は淀んでいるし、息が詰まると感じられるのだ。

 (余談:意見交換は、真理を求めるのではなく、妥協点を見出すことを目的とする、という日本的思考様式がある。お互いが譲り合い、妥協に妥協を重ねて、誰も本当には信じてもいないような妥協点で合意が形成される。その妥協点は、誰も真理とは思ってもいない不真理そのものなのだが、われわれの世間はそのような不真理にまみれ、覆い尽くされている。しかし、誰も文句を言わない。誰が決めたか分からないが、とにかくそう決まったからそれに従うしかない、それが我々日本人の《世間の構造》なのだろう。)

 以下、屋上屋を架すことになるかもしれないが、アンジェラスさんの文章にいくつかコメントしておきたい。

私は痛井ッ亭。さんの意見に同感ではありますが、一方でハッチマンさんの発言についても一言一句全てを肯定している訳ではありませんが、彼が発言するに至った気持ちはよく分かりますし、道重さんへの彼なりのエールだったと受け取っております。
 主観的に「エール」でありさえすれば、誹謗中傷も正当化されるということはない、と私は考える。一介のファンごときが「あえて憎まれ役に徹する」ことにしたとして、それにどれほどの意味があるのかはさておいても、「あえて憎まれ役に徹する」から誹謗中傷してもいいのだという理屈はまったく成り立たないと私は思う。 
ただ、道重さんの発言の中からは、私が最近気にしている事を感じたのも事実です。
それは現在のモーニング娘。において、個々のメンバーがユニットとしての在り方や、ユニットの中での自身の位置付けについて、また自身のタレントとしての将来について、明確なビジョンを持つ事が出来ていないのではないか?と言う事なんです。
 逆に問えば、現在の(あるいは歴代全員の)モーニング娘。の中で、誰が将来に対する明確なビジョンを持っているのだろうか、わたしには分からない。それが心配だというなら、私はモーニング娘。全員が心配だと言いたい。
 (道重発言がこうやって問題視されることになるのも、彼女が本音を吐露できる素晴らしいソロラジオ番組を持ちえているおかげなのだが、では、ラジオでは当たり障りのないことだけ言っていたほうがマシなのだろうか。ラジオなどのメディアで発言する機会がないために、ヴィジョンの有無も分からないメンバーのほうが、道重さゆみよりマシなのだろうか)

無理に同じ事で他人と競おうとせずに、ハッチマンさんの仰るとおり「自身の良さをもっと活かす方向で勝負すればいい」と思うんですよ。
 これもすでに書いたこととおそらく重複するが、この発言の真意は「道重はグラビアやバラエティに才能がある、だからそっちで頑張るべきで、ミュージカルでセリフを欲しがるべきではない」と聞こえる。その意見(提言?)については、私は何も言うことはない。しかし、「ミュージカルでセリフがなかったこと」に彼女がショックを受けたのは事実としても、そして、悔しさや不甲斐なさで泣いたとしても、それは責められるべきことなのだろうか。私には分からない。
 私にとって明らかなことは、ミュージカルで二度も連続して主演したリーダー高橋愛本人は、それが自分の実力で勝ち得た役であるとはいっても、セリフがないことで悔し泣きした道重さゆみに対して「分不相応、身の程を知れ」的なことは絶対に言わないだろうということだ。いくらリーダーでも、そんなことが言える立場ではない。しかし、高橋愛のファンは道重発言を捉えて、発言を批判するばかりか、彼女の人格まで誹謗中傷し、攻撃する。道重さゆみは「造反」している、「事務所批判」している、とまで主張する。そのことが、ありもしない不遇で、陰惨な、虚偽的な対立構図を助長してしまうというのに(この点は既述した)。

もしも現在のモーニング娘。の中で、自身について明確なビジョンを持つ事が出来ていないメンバーが一人でもいるとしたら、
 「一人でも」どころか、私には大勢いるように思えるし、それは程度問題に過ぎないとも思う。新垣里沙は苦渋に満ちた真顔で「わたしには何かが足りない。でもそれが何かが分からない」と語っていた。それは端的に明確なヴィジョンを持ちえていないことの告白でもあろう。しかし、新垣里沙は問題に気づいている分マシであって、問題に気づいてすらいないメンバーもいるのかもしれない。いないのかもしれない。いずれにせよ、道重さゆみだけの問題ではないはずだろう。(そもそも「明確なビジョン」を持つことはそれほど素晴らしいことなのか、という根源的問題もあろう。むしろあらゆる可能性に対して柔軟に自分を開いておく態度を肯定すべき場合もあろう。)

全く答えにはなっていないのかも知れませんが、ハッチマンさんの発言の意図は決して道重さんへの悪意に満ちたものではなく、彼女に心底期待しているという部分も感じました
 繰り返しになるが、「悪意に満ちたものではなく」て、「心底期待して」いたら、誹謗中傷も許されるのか、という点が問題なのだ。
 たしかに、彼は道重さゆみに期待しているとも書いていたし、問題点の指摘や提言のたぐいもまったくの的外れではないだろうと思う。しかし、それが本心からの記述なのか、それとも、「憎まれ役」という大義名分を利用して(そして道重発言がネットで攻撃にさらされている時機に乗じて)偏見や誹謗中傷を書き付けたかっただけなのか(そうは思いたくないが)、私には真意は分からない。どちらとも言えない。何しろはぐらかし以外のまともな回答が一切ないのだから。
 明らかなことは、彼が自身のブログに道重さゆみへの誹謗中傷を書き連ねたという、隠しようのない事実だけだ。

真に批判すべき事に対しては、言いたい事を言わせてもらおうと思ってます。
 これは、DDとして、熱烈なサポーターとして、尊敬に値する、然るべき態度だと思う。
 では、道重さゆみに対する誹謗中傷は「真に批判すべき事」ではないのか?ということが、私には疑問として残る。
 尊敬するDDのアンジェラスさんが、誹謗中傷を黙認して誹謗中傷の主に同調している姿が、私には悲しくてたまらない。


 最後に、私の掲示板に寄せられた感動的なコメントを引用して終わりたい。

33 名前:痛井ッ亭。 ◆KXPPPNeoKY 投稿日: 2008/10/19(日) 16:44:35
ヤンタン聞いた
さゆみんよく頑張ってた
さんまさんも火消し役を見事にやっていてさすがだった

34 名前:いつもは名無し 投稿日: 2008/10/20(月) 20:12:44
>さんまさんも火消し役を見事にやっていてさすがだった

さんまさんは全国的な人気者になる前の自分と道重さゆみとをダブらせているところがあると思んです。(妄想含有率85%)
関西ではすでに有名だった彼を関東人である僕が始めて知ったのは「小林繁投手のモノマネする人」としてでした。
淡々と形態模写をし得意のトークはさせてもらえず出番を終えた彼。
当時小林のモノマネなんかは野球好きの小学生でもやってたというくらいの芸で、彼が特に達者だったというわけでもなくただ野球帽を被った細面が小林に似ていただけでした。
「あ、この人また小林やってる。面白くないなー」と美少年時代の僕が思うのも無理からぬ話でそれからしばらくは少なくとも関東では鳴かず飛ばずだったはずです。

関西では人気者だった昔のさんまさんとヲタの間では人気者なさゆみん
落語家に弟子入りしていながら落語ができなかった昔のさんまさんと歌手でありながら歌がイマイチのさゆみん
フリートークを禁じられて寡黙にヤングオーオーをこなしていた昔のさんまさんとミュージカルで台詞のなかったさゆみん

がんばれさゆみん!明石家さゆみを名乗ることを許されるその日まで!


・・・・・・って痛しゃんごめんなさい。
僕はサイトもブログももってないのでここをお借りしてさゆみんエールを書かせてもらいました。

35 名前:痛井ッ亭。 ◆KXPPPNeoKY 投稿日: 2008/10/20(月) 20:55:36
>>34
 いつもは名無しさん!ありがとうございます!!!!!!!!!

>ごめんなさい。
 とんでもない!逆に有難くて涙が出そうになりました。いま道重さゆみへのエールを送ってもらえる(しかもこの場末の過疎った掲示板で!)ことがどれほど嬉しかったことか!

>さんまさんは全国的な人気者になる前の自分と道重さゆみとをダブらせているところがある
 これは、わかる気がします。さんまさんだって「道重、お前頭おかしいわ」と言いながら、自分の売れなかった時代の苦労を思い出していたに違いないと。
 もっとも、さんまさんが絶世の美少女に自分をダブらせてたら相当気持ち悪いですが(笑)

>がんばれさゆみん!明石家さゆみを名乗ることを許されるその日まで!
 シゲさんは、きゃわいいキャラをぬけぬけと演じきりつつ、同時に黒い要素も嫌味なく表現できるというトークの才能がありますし、モーニング娘。後も、売り方さえ間違えなければ、必ずやTVで人気タレントになれると思います。
 かめちゃんのトークはまだ魅力が表現しきれない部分があるのでさゆに比べれば精進が必要だと思われます。

 从*・ 。.・) <絵里には荒療治が必要です

 一方、モーニング娘。後を歌手としてやっていこうと思うメンバーにとっては、今のハロプロを取り巻く現状を見るに、かめしげがバラエティで生きていく何倍もの困難が待ち受けているだろうと思います。

 ──という訳で、いつもは名無しさん、「えりちゃんねる」はいつでもブログがわりに自由に使っちゃってくださいませ。むしろそう願います。


 Tausend Danke!!!! 

 一般にはキチガイの巣窟と思われている(そして事実そのとおりでもあるのだが)「狼」の住人にこんな素敵な人物もいるということを、私は心に深く刻んでおきたい。






p.s. カエサル氏からTBをいただいたので記して感謝します。コメントさせていただきました。


p.s.2 ハッチマン氏は、わたしの記事から送ったTBを反映させないようにしたらしい(念のため2回送ったが反映されていない)。それは氏の自由であるから構わないが、正直言って、「情けない・不甲斐ない」という思いを禁じ得ない。
 私は、誰に対してでも、歯に衣着せずおかしいことはおかしいと指摘することを旨としているので、こういう対応をされることには慣れている。
 「これ以上言いたければ御自分のブログでどうぞ」とコメントを拒絶したつばめ氏。「もうわたしのブログにはコメントしないでください」とコメントを拒絶したはたの氏。そして今回、わたしの真摯な疑義には一切答えずTBを反映させないようにしたハッチマン氏。この3者を並べたとき、私は深い驚きを禁じえない。この3者がいずれも高橋愛のファンであることは単なる偶然なのであろうか、それとも何らかの内的な関連性があるのだろうか。その点について精神分析学的観点から考察したら、何か興味深いことが分かるだろうか。
 (ちなみにこれは高橋愛へのイヤミなどではない。念のため。)