■藤本美貴をあきらめない

あなたをあきらめない
あなたの小さな手を離さない
あなたを信じることが あなたの希望となるのであれば
あなたの希望が ふたたびわたしたちを照らすことを
わたしたちは信じなければならない
わたしたちは信じることができる
わたしたちは信じる

嘲笑と 失望と 軽蔑と
愛のない関心と 愛のない無関心に取り囲まれ
その翼をもぎとり地に引きずり下ろそうとする冷酷な力に
思わず膝を屈し 地に臥してしまっても
あなたは立ちあがらねばならない
あなたは立ちあがることができる
あなたは立ちあがる

モーニング娘。を奪われ ガッタスを奪われ
GAMさえも奪われてしまったとしても
その小さな顔に吹きつける砂塵混じりの逆風の強さに
思わず顔を背けてしまっても
ふたたび 毅然として 真正面を向いて
あなたは歌わなければならない
あなたは歌うことができる
あなたは歌う

あなたが人を幸せにすると同時に 自分も幸せになることは
許されないことなのか 不可能なことなのか
いや違う それは簡単なことだ
あなたを「アイドル」という概念の処刑台に磔にする
定義付けという暴力から 身を引き剥がし 逃れればいい
あなたは自由になる

「アイドル」に「処女性」が求められるというなら
そんな安っぽい称号など 熨斗をつけて丁重に叩き返せばいい
「アイドル」という狭苦しく不自由な檻を抜けだし
広大な大地を自由に駆ける野生の獣に 美しいヒョウになればいい
あなたは荒野に生きる自由と 過酷とを手に入れる その過酷に
あなたは立ち向かわねばならない
あなたは立ち向かうことができる
あなたは立ち向かう

数々の輝かしい奇跡の瞬間
あなたはモーニング娘。そのものであり
あなたこそモーニング娘。だった
あなたがアイドル失格ならば モーニング娘。も失格であっていい
しかし あなたがモーニング娘。の歴史に刻み込んだ数々の奇跡を
その功績を 歴史から抹消し
その記憶を 消去することは
誰にも許されない 誰にもできない

わたしたちは待ち続けなければならない
わたしたちは待ち続けることができる
わたしたちは待ち続ける
あなたが心から笑う日が ふたたび来ることを
腹の底から沸き起こる喜びと幸せに
大きく口を開けて
目を見開いて
鼻の穴を広げて
あなたは笑う